機関誌ぷらいむ
ぷらいむ提言

NO.18NO.19NO.20 | NO.21
No.21
中高年に求められるスキル(力)
長谷川 陽子氏
しまねSOHO協議会会長・有限会社Willさんいん代表取締役
長谷川 陽子氏

 社会を取り巻く環境が日々変化する中で、若年者の雇用状況も深刻化しています。
 昨今では、ニートと呼ばれ職業にも学業にも職業訓練にも就いてない若者が増加しています。
 何故、定職につかないのでしょうか?働かないのでしょうか?答えは様々ある中で「目的」が見つからないと嘆く声も聞こえてきます。
 人生における目的の中の一つ「生き甲斐」として自分が必要とされている実感や、何かをやり遂げた時の満足感、そんな感覚を得られない若年者に働く必要性を語っても理解し難いのかも知れません。

新しい仕事に目を向ける意識を持つ

 私たちが、就職・再就職に関する訓練を行って来た中で、若年者でも中高年者でも意識の改革が必要だと思うことが多々あります。若年者の場合には「働く事の意味」を誰かに言われたから理解するのではなく自己で再認識する事が必要でしょうし、中高年者の場合には「今までの職種・職業」にこだわる傾向があるので自分の強みを発見し新しい職種や職業へ目を向けるように意識を変える事が必要だと考えられます。

コミュニケーションスキルが重要

 また、ITの時代からITC(Information・Communica-tion・Technology)の時代へと変わる中で技術や知識だけではなく、コミュニケーションスキル(力)が重要視され始めています。人と人が関わるところには必ずコミュニケーションがあり人間社会が形成されている中で地域と人、親子そして会社であれば上司と部下、同僚との関係が上手く行くのも行かないのも全て人間性コミュニケーションスキル(力)が左右するのではないかと考えられます。

今までの経験をスキルに融合させる

 そこで、高齢者が再就職をする為には、自己の概念を時代のニーズに合わせて変化させると共に今までの経験をコミュニケーションスキル(力)に融合させるよう努力する事が求められていると思います。そのようなニーズに答えるかのようにシルバー人材センター連合が取組んでいるシニアワークプログラム事業では会計ソフト講習とコミュニケーションスキル講習をカリキュラムに入れる事により高齢者が再就職へ向けてスキルが習得できるような支援が行われています。
 今後益々多様化するニーズの中で更なるシニアワークプログラム事業が充実されるよう願っております。


No.20
高齢者の一声から、 環境保全への関心を広げよう
犬山 千春氏
宍道町町民生活課長
犬山 千春氏

 現在、深刻な環境問題が生まれ、私たち一人ひとりがライフスタイルや事業活動のあり方の見直しなど個々の価値観を変え、具体的な行動に結び付けていくことが求められています。

住民主体で環境保全活動

 本町では消費者問題研究会など住民を主体とした環境保全活動が行われています。リサイクルステーションも住民自らが設置。その後、地区全体に広げてもらいたいという要望から町をあげての活動となり、現在約四十カ所に増えました。リサイクルボックスは現在五ヵ所を設置してごみ資源化の場を充実しています。平成四年には女性の視点による町づくりを行おうと女性で組織された課が設けられ、リサイクルステーションやごみの資源化について取り組みました。その一環として女性モニターを設置。ゴミ焼却場での体験で現状を把握していただき、各地区にPRしていただきました。
 このように環境問題に対する本町の住民意識は概ね高い傾向にありますが、個々の意識の温度差は否めません。そこで、区長会でごみの出し方について説明して地区内での周知を図っていただき、十五年度にはゴミアドバイザーを設けて住民からのゴミの出し方の相談に応じていただくほか、各地区から選出されたリサイクルステーションの協力員さんにごみの出し方などについて勉強をしていただくなど、住民の皆さんとともに環境保全に関する意識啓発や情報伝達に力を入れています。

環境保全活動に役立つシルバー会員の声

 平成十四年十二月から、しんじシルバー人材活用センターの会員さんにリサイクルボックスの資源ごみ収集を担当していただいています。会員さんは環境問題に熱心で、現場報告やご提案もいただいています。その声を参考に広報誌で事例を紹介したり、ごみの出し方を漫画で説明したりPRに役立てています。ボックスに脱臭剤を備えたのも会員さんからのご提案でした。
 環境保全には多くの人の手が欠かせません。ですから、環境保全に関わっていらっしゃる会員さんにはお気付きになった点を周囲の方々に伝えていただきたいと思います。また、地域に密着しながら様々な分野に携わっていらっしゃる会員さんの豊かな経験と知識、広い人脈は環境保全活動の大きな力です。ぜひ、その能力を発揮していただき、環境に配慮した地域となるようにその輪を広げていただければと期待しています。


No.19
島根の子育てに高齢者の知恵と経験を
干飯 雅昭氏
島根県健康福祉部青少年家庭課
少子化対策推進室 室長
玉串 和代氏

 今全国的に、少子化の進行が大きな社会問題になっていますが、近年本県においては、全国を上回る勢いで少子化が進んでいます。少子化対策に携わるものとして、この状況を大きな危機感をもって受け止めています。

少子化対策は最重要課題

少子化の急速な進行は、年金等の社会保障負担の増大、経済成長の低迷、子どもの健やかな育ちへの懸念など、経済や社会に大きな影響を及ぼします。特に過疎化・高齢化が進む本県では、地域社会の存続をも脅かす恐れがあります。
 このため、県では少子化対策を最重要課題に位置づけ、非常に厳しい財政状況の中にあって、優先的に施策を推進しています。特に今年度から重点プロジェクトの一つとして、「子育てサロン」の全県展開に取り組んでいます。これは、核家族化や地域のつながりの希薄化等により、子育てに対して孤立感や不安感を持つ親が増えていることから、親子が自由に集い、相互の交流や悩みの相談が気軽にできる場としての「子育てサロン」を県内各地に設置する事業で、担い手は地域の皆さんです。

子育て支援に、高齢者は欠かせない存在

 少子化は、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じており、多様な観点からの取り組みが必要ですが、子育てを、行政のみならず、企業も地域も社会全体で支えていくことがますます重要になってきています。
 とりわけ「地域」に着目したとき、本県には元気で活躍される高齢者がたくさんいらっしゃいます。子どもの健やかな育ちには多世代間交流が望まれますし、子育てする親には高齢者の知恵と経験が助けになります。実際に、「子育てサロン」や啓発イベントの運営にかかわったり、子育て支援センター事業を受託しておられる高齢者団体もあります。本県の子育て支援にとって、高齢者は欠かせない存在になりつつあり、有償・無償にかかわらず、今後さらに積極的に参画していただくことを大いに期待しています。

世代を超えた取り組みを

 少子化は子育て世代だけの問題ではありません。子どもを生み育てることに喜びが感じられ、子どもが健やかに育つ社会に向けて、社会の構成員すべてが、世代を超えて取り組むことが何よりも必要なことです。島根らしい子育て支援の構築に向けて、高齢者の方と、共に手を携えていきたいと強く願っています。


No.18
高齢者の雇用促進に向けて
干飯 雅昭氏
島根労働局職業安定部長
干飯 雅昭氏

 我が国は、ご存知のように平均寿命の伸びと出生率の低下から超高齢化社会を迎えようとしており、2010年頃には、人口の3人に1人、労働力人口においても5人に1人が60歳以上になるといわれております。 
 こうした高齢化は、我が国の経済社会に大きな影響を与えるとともに、2001年からは年金の支給開始年齢の段階的引き上げも開始されており、経済社会の活力を維持していくためには、60歳台前半層の方の就業意欲や経験、知識などを労働力として有効活用することが重要な課題となっております。

雇用・就業に向けて期待される事業

 このため、高年齢者雇用安定法の改正が国会で審議されており、今後は定年年齢や継続雇用制度の年齢制限を段階的(平成18年度から)に引き上げて行き、平成23年度からは希望者全員が65歳まで働ける制度となることを目指すとしております。
 このように、高齢者の継続雇用の必要性が高まっている一方で、再就職支援と高齢者個々の多様な雇用・就業ニーズに見合う雇用・就業の場の確保が重要となっております。その個々の希望に応じた雇用・就業のお手伝いをするのがシルバー人材センター事業であり、その中でも一般の雇用・就業にもつながるものとして、シニアワークプログラム事業は特に期待を寄せているところであります。

事業の積極的な活用を

 このシニアワークプログラム事業は、各事業主団体等の協力を得て、技能講習や職場体験などを行うことにより、主に再就職を希望する高齢者を支援するものであります。そして、講習等終了後は事業主団体傘下の事業所などによる合同面接会等を実施することで、高齢者の具体的な雇用・就業につなげるものです。
 島根県は全国一の高齢県であり、いきいきした島根を実現するには、60歳台前半層を中心とした高齢者の力が不可欠であるといえます。事業主の皆様には合同面接会への参加などによる即戦力となる人材の確保を、また雇用・就業を考える60歳台前半層のシニアの皆様方には、技能修得のみならず新たな職場に踏み出す勇気も与えてくれる場でもありますので、このシニアワークプログラム事業を積極的に活用していただき、元気な地域社会づくりに貢献していただければと思います。

求められる就職実績

 国の厳しい予算の状況を反映し、施策の事業実績が評価されることとなっており、このシニアワークプログラム事業についても、事業実績に見合った就職実績を求められることとなります。この事業の委託先であるシルバー人材センター連合を中心に、各市町村シルバー人材センターのご協力によりこのシニアワークプログラム事業が一層充実し、一人でも多くの方が雇用・就業による社会参加ができることを期待するものであります。


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